美味しいチャーハンを作るための鉄則

チャーハンなんてものは、余った食材を片っ端から炒めた、いわば「食べる在庫処分」としか思っていなかった哀れな筆者を目覚めさせてくれたチャーハンがこれ。

東京都板橋区大山にある「丸鶴」のチャーハンだ。一口食べた刹那、本当にほっぺたが落ちるんじゃないかという錯覚に捕らわれ、次この店に来るときは顔面を金具で補強してこようと思ったほど美味かったこのチャーハンを自宅で再現したい、そう考えるのは人として当然のことであった。

丸鶴チャーハンの再現を決意したその日から、来る日も来る日も試行錯誤を重ね、天井まで折り重なった試行錯誤がバランスを失い倒壊しかけたその時、突如筆者に降り注いだ天啓、それは「チャーシューをめっちゃ入れる」というものだった。

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チャーハン作りはチャーシュー作りから

写真ではチャーシューが少ないように見えるが米の下に死ぬほど埋没している。

この世に生れ落ちてから今の今まで、一秒のスキもなく人の顔色をうかがって生きてきた筆者は「パパっと作れるのが売りのチャーハンにそんな手間はかけてられませんよ」というあなたの冷笑をつぶさに感じ取っている。

チャーシュー作りは意外と簡単だ。完成までに約1時間半かかるが実際に鍋の前に立っているのは数分だけ。工程の大半は「待機」が占めている。売れない風俗嬢と同じだ。

極限まで簡略化したチャーシューの作り方

表面を色が付くまで焼く。

水300cc、しょうゆ150cc、酒150cc、砂糖大さじ5を入れた鍋に豚肩ロースのブロック500gを放り込んで中火で30分。沸騰してから入れると肉が固くなるので肉を入れてから火をつけよう。ネギやしょうがなどの香草と一緒に煮込む行為は「おいしくできますように」という祈りの儀式、いわばオカルト的要素なので入れなくてもいい。

30分たったら火を止め蓋をして放置(鍋のサイズにもよるが1時間程度)し、余熱で育む。豚肉は火を通しすぎるとパサついて食べ物としての魅力をガクンと損なうため、しゃぶしゃぶがそうであるように、食中毒上等という気持ちで半生スレスレを狙う。

鍋側面の温度が、学校休ませるかどうか微妙なラインの子供の額くらいになったら引きずりだして完成!

以上の通り、チャーシューの仕込みにかかる時間は、煮込むのに30分、放置に約1時間、出来上がったチャーシューの出来に酔いしれるのに2分、合計1時間32分。赤の他人が恋人同士になるのに十分な時間だが、これ以上愛着がわく前に・・・

厨房にウルヴァリンが来てくれたのかというくらい細切れにする。

チャーハンを炒める

チャーハンを作る前に覚えておきたい知識

チャーシューを仕込むことで、チャーハンづくりへのエントリー権を手にしたなら、さっそくチャーハンを炒める。炒める前に覚えておきたいコツとしては、塩と胡椒と味の素とオイスターソース、この4つのみで味をつけるということだ。チャーハン制作の過程において、常に「しょうゆを鍋肌に垂らしてえ」という葛藤と戦うことになるのだが、鉄の意志で抗わなければならない。しょうゆを垂らすと、一気に家庭的なチャーハンの味になってしまうのだ。我々は常に、中華屋さんのチャーハンを目標に慢心していかなければならない。

もう一つ覚えておきたいのは、パラパラチャーハンの時代は終わったということだ。原則として料理というのはしっとりしていたほうが美味い。人類がシリアルに牛乳をかけるのは、そのまま食べるとパラパラだからだ。大山の「丸鶴」も、しっとりチャーハンの代表的な店である。

チャーハンづくりの工程

チャーハン作成に取り掛かる前に、すべての食材をいつでも出動できるようスタンバイしておくのは、美味しいチャーハンを作るうえで最も重要な所作である。卵は溶いておき、塩と味の素は混ぜておく。コショウの蓋も取っておく。

鍋に油をひいて煙が出るまで熱する。筆者は無職なので手に入れることができなかったが、本当はラードが好ましい。スーパーの精肉コーナーに置いてある無料の牛脂をポケットにねじ込んで威風堂々退店という手もあったが、無職の上にそれをやったらもう終わりだと思い実行に移せなかった。フジコンタクトは駅前でティッシュじゃなくて牛脂配ればいいのに。クラシアンもマグネットじゃなくて牛脂をポストに突っ込んでくれ。

卵を投入しいい感じに固まったら普通に炊いた米を投入。この瞬間がまさにパラパラチャーハンとしっとりチャーハンの分水嶺となるシークエンスである。炊いてから時間がたったご飯を入れるとパラパラチャーハン、炊きたてのご飯を入れるとしっとりチャーハンになる。ポケモン金銀世代の筆者はエーフィとブラッキーを連想するのであった。

卵とご飯を軽く混ぜたら残りの食材を全部投入!分量はあえて書かない。チャーハン作りはフィーリングがものをいうスポーツであって、「こんなもんかな?」と思った量を入れれば自然と自分好みの味付けになる。ただし塩の量だけは気を付けてほしい。「これじゃ少ないかも」という量がベストだったりする。ちなみに、卵でご飯の表面をコーティングして黄金にしまして(ドヤ顔)などというのは料理人がいかに自分の腕前が凄いかをアピールするために放った妄言なので、全く気にする必要はない。とにかく全部混ざればいい。

すまーん!ネギは後!しかし、ネギは前述の儀式に頭を使ったため残りの白い部分を放り込んだだけで、厳密には必要ない。米と大量のチャーシューが生み出す圧倒的な力強さの前では、ネギは四捨五入すると0になって切り捨てられるからだ。

一口食べた瞬間、チャーハンは肉料理だったということに気づくだろう。

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この記事を書いた人

雑記ブログです。食べもののことを中心にいろんなことを書いています。

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