見る者をクスッとさせるようなユーモラスなデザインが施された「おもしろTシャツ」。
年代性別問わず愛好者は多い。
そんなおもしろTシャツを、筆者も一着は持っておこうと思い立ったのだが、どうせなら街ですれ違う者全てが膝から崩れ落ちて大爆笑ののち窒息死するような破壊力抜群のTシャツが欲しい。
とりあえずamazonを訪ねる。
あんまり面白くない。
そもそも本当に面白いおもしろTシャツとは何か?
「面白い」の正解は無限にあるため、これだ!と限定するのは非常に難しい。
よって逆説的に、「面白くないTシャツ」を定義し、そうでないTシャツ、つまり「面白くなくないTシャツ」を面白いTシャツとすることにする。
面白くないTシャツの定義
狙いすぎ
ダジャレTシャツや、単純に変な絵が施されたTシャツ。
浅草や奈良の土産屋で売っているような、アジが三匹並んで「AJIDES」と書かれたものや、忍者ハットリくんの顔の下にパーマンと書かれているTシャツがこれに該当する。
作者の「笑かしてやろう」という意図があまりにも見え見えだと冷めてしまう。
自分はダメ人間ですアピール
「燃料は酒」「働いたら負け」といったような文章が施されたTシャツ。
人生の選択肢を全て間違ってきたようなズレたおじさんがよく着ている。
自分を蔑むことで笑ってもらおうという意図が見えて冷めてしまう。
下ネタ
これはいうまでもなく良くない。
卑猥な画像やそれを連想させるようなデザインが施されたTシャツ。
嫌いな奴の葬式に着ていくことぐらいしか用途がない。
これら3つに該当しないTシャツとは
「狙いすぎ」「ダメ人間アピール」「下ネタ」
これらに共通するのは「笑かしてやろうという意図が見え見え」であるということ。
つまり、本当に面白いおもしろTシャツは「笑かしてやろうという意図が見えない(または巧妙に隠されている)のに面白いTシャツ」ということになる。
では、笑かしてやろうという意図が見えない(または巧妙に隠されている)のに面白いTシャツとは何か?
日本語に詳しくない外国人が作った日本語のTシャツ
恐らくこれだけが該当する。
中国の日本人向けレストランのメニューに書かれている日本語が無茶苦茶な様子がSNSで話題になっているが、あれが面白いのは書いた本人が「狙っていない」からだ。
人間というのは基本的に、ウケを狙ったわざとらしい行為よりも、純粋な失敗に「可愛げ」を見出し面白がる生き物なのだ。
こういったTシャツは当然海外の通販サイト、特にパチモンのメッカ中国に多く見られるため、中国の通販最大手「アリエクスプレス」を訪ねる。
面白い。
ニコラスケイジの顔の下に、いくら調べてもニコラスケイジとの関連性がわからない「ゲルボ」と言う謎の3文字。ビビットな色使いも狂気に拍車をかけている。
正直今まで偉そうに挙げてきた「狙いすぎ」の例に該当するニコラスケイジTシャツも、ここまでされると面白い。「徹底することの重要性」というものを再認識させられる。
レビューも面白い。こんなTシャツをペアルックで着ているカップルは地球に必要ない。
しかし、やはり「ニコラスケイジの顔をドアップにすれば面白いっしょ」という意図が見え隠れしているのも事実であるため却下。
その後も頭のおかしくなりそうな商品群をかき分け物色すること約半日。ついに筆者のお眼鏡に叶うTシャツを発見し注文。
二週間後、商品到着
ひと昔前のゴミ袋のような梱包で包まれた待望の品がやってきた。
面白い。
購入ページに載っていた画像ではわからなかったが、Tシャツの生地が世界で一番薄い布であることが洋服に疎い筆者でも手に持った瞬間確信できるほどであることに加え、プリントがアイロンで貼り付けるシールのようなものだったことが醸し出す圧倒的チープさが、その面白さを加速させている。
どんな目に合えばこうなるのかというほどタグがクシャクシャ。広げてみると…
コットン100パーセントであることが4ヶ国語で記載されている。それだけは絶対に伝えたかったのだろうか。それはともかく…
驚いたピカチュウの下に「驚いたピカチュウ」と書いてあるということの凄みがあなたには理解できますか?
なぜこのTシャツが面白いのか?
前項で説明したおもしろTシャツ理論に沿って説明する。
バナナの下にスイカと書かれているTシャツは狙いすぎなので面白くない。
バナナの下にバナナと書かれているTシャツは、見ればわかるものになぜわざわざ名称を記載するのかという奇妙さがおかしみを生むため少し面白いが、少し弱い。
うんこの下にうんこと書かれているTシャツは、うんこの下にうんこと書かれている奇妙さはあるものの、うんこ自体が下ネタであるため、狙いすぎていて面白くない。
驚いたピカチュウの下に驚いたピカチュウと書かれているTシャツはどうか?
なぜ驚いたピカチュウの顔なのかという奇妙さと、その下に驚いたピカチュウと記載してある奇妙さが単純に足し算され、大きな大きな面白さを生んでいる。
普通の顔のピカチュウでは弱い。普通の顔のピカチュウの下に、ピカチュウと書いてあっても、バナナの下にバナナと書いてある例と変わらないからだ。
デザイン自体の面白さ、Tシャツとしてのチープさに加えて、作者が外国人(恐らく中国人)であることが「狙っていない」ことの証明になっている点や、両親の命を賭けて断言しても良いほど確実に任天堂の許可を取っていないアウトロー感がミックスされ、このTシャツを稀代の名作たらしめているのだ。
おもしろTシャツを探すなら「アリエクスプレス」がオススメ
アリエクスプレスで「funny shirts」などと検索してみれば、世界レベルのおもしろTシャツが気が狂うほど表示されるので眺めるだけでも面白い。
中国の生産地から直接買い付ける形なので圧倒的に値段が安い。今回購入した「おどピカT」も送料込みで800円程度だった。
ただ、購入時にクレジットカードの情報を入力する必要があるので、中国のサイトにクレカ情報を打ち込める勇気が試される。筆者はなんともなかったので個人的にはオススメ。
ちなみに品質こそ最低だが普通にイカしたデザインのTシャツも売っている。
これは500円くらいだった。やはり生地がオブラートくらい薄い上に白いので鬼の首を取ったように乳首が透けるのが残念だがデザインはイケてるっしょ?
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