トップガンマーヴェリックを観に行かないと取り返しのつかないことになる

映画

先日、トップガンマーヴェリックを観に行った。

映画を見終えるまでの筆者にとって、トップガンマーヴェリックとは皆既日食のようなものであった。前作は遠い昔に金曜ロードショーか何かで観たものの内容はほとんど覚えておらず、今作に対して特にこれといった思い入れはない。にもかかわらず、世間が騒いでるしとりあえず見れるうちに見とかないと損という価値観のみを原動力に、いっちょ前にポップコーン片手に映画館に駆け込んだ浅ましい小男であったが、映画を見終え、帰りに立ち寄ったトイレの鏡に映るのは、あまりの興奮と感動で、自分をトム・クルーズだと錯覚し、もう夏なのにMA-1ジャケットの購入を検討する小男であった。

 

複線やどんでん返しなどクソくらえのド直球アクション

筆者は、難解なストーリーの創作物をあまり楽しめるほうではなく、漫画デスノートに至ってはもはや「挿絵が多い小説」に分類しているほど読解力に乏しい。そんな筆者がここまで今作を楽しめた要因として挙げられるのが、「ストーリーのシンプルさ」だ。高い能力を持つものの、現場主義のため昇進を蹴ってる系の主人公が、かつて失った相棒の息子と大活躍してめでたしめでたし!というシンプルな話が、超ド派手な演出と共にすごいテンポで進んでいく。この方向性は、同じくかつて、久々の続編として2015年に公開された「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の大ヒットによる影響が少なからず感じ取れる。本作はもはや、映画というよりめちゃくちゃ金がかかったデンジャーゾーン(今シリーズの主題歌)のプロモーションビデオであり、トム・クルーズと戦闘機が濃厚に絡み合うポルノである。

本シリーズの主題歌であるケニーロギンスのデンジャーゾーンが、変にもったいつけることなく映画冒頭から爆音で原曲のまま流されるのが粋。この時点で、「マーヴェリック」という単語が、意味は分からないけど好きな単語ランキング第1位に躍り出たことは言うまでもない。(第2位:ボンボヤージュ)

前作が公開されていた1984年時点では最新の戦闘機であったF-18。今作では、型落ちとなった本機を、同じく老兵となったマーヴェリックが駆り、敵国の操る最新機に立ち向かう。

以下ネタバレ注意

当然勝つ

豪快なポリコレ対策

現代の映画に求められる「現代の価値観にあった配慮」が、規制だらけの世の中に対する当てつけなのかと思うほど荒いのが気持ちいい。主人公のチームに、全人種を網羅しましたと言わんばかりに配置されたアジア系や女性隊員。笑ってしまうほどボカされたベッドシーン。グロテスクなシーンは一切なく、血の一滴も写らないという、となりのトトロ以来の快挙を成し遂げている。極めつけは、政治的配慮からか、正体が最後まで伏せられた敵対国家。敵の正体が最後まで分からない映画などこの世にあっていいのかと思いがちだが、えらいもので、敵対国家の正体が何なのか、最後まで全く気にならない。今作は、トム・クルーズと戦闘機さえ映していれば、敵の正体などどうでもいいんだということを我々観客に教えてくれる。

映画のビッグマック

時速マッハ10さえ出せば、上司からなんらかの許可が下りてとにかく万々歳という、細かいことはわからないがなんか大事そうな試験に主人公がチームの命運を背負って挑んでみたり、恋人といちゃついてる時に急に帰ってきた恋人の娘の目を、ミッションインポッシブル顔負けのアクションを駆使して搔い潜ったりと、ベタながらも100人中100人が理屈抜きで面白いと思えるような演出が、隙間なく随所にちりばめられている。終盤では、さらにダメ押しと言わんばかりに、敵国の領土に墜落した主人公が、敵の戦闘機を盗んで脱出するという、ランボーやコマンドーじみたワンマンアーミーっぷりも炸裂する。全世代の大好物を、トム・クルーズというパンに挟んで提供すればバカ売れでしょという、ビッグマック的な発想に基づいて製作された映画、それがトップガンマーヴェリックだ。

トップガンマーヴェリックの凄さをレーダーチャートで分析する

ハリウッド史に残る名作と呼ばれる映画には決まって、共通する5つの要素がある。

  • 脚本
  • 演出
  • 音楽
  • 戦闘機
  • トム・クルーズ

この要素を今作「トップガンマーヴェリック」がどれだけ満たしているのかレーダーチャートで表してみる。

40点

脚本こそ振るわないものの、それ以外の項目が全て満点という驚異的な数字をたたき出している。だからトップガンマーヴェリックは傑作なのだ。

比較として、同じく名作として名高いトム・クルーズ主演の「レインマン」を分析してみる。

40点

歴代トム・クルーズ主演作品の中で最高傑作と評価する声も多い「レインマン」。トップガンマーヴェリックは、トム・クルーズ主演作品史上最高傑作に肩を並べたと言っていい。レインマンは、戦闘機さえ出てくれば満点だったというのが実に惜しい。

こち亀THE MOVIE

3点

トップガンマーヴェリックを見に行かないと取り返しのつかないことになる

埼玉で生まれ育った筆者の幼少期、どうしてもディズニーランドに行きたいと駄々をこねた結果、両親に連れて行かれたのが所沢航空公園だった。航空公園とは名ばかりで、敷地内の大半は原っぱとドッグランだった。せめてトップガンに出てくるような戦闘機が見られるものだと思い、すみっこの展示コーナーに勇み足で向かった筆者を待ち構えていたのは、ライト兄弟が乗ってたようなやつだった。浮かない顔の筆者を喜ばせようと両親が気を利かせ、お土産コーナーで買ってくれたのは、家の近所の駄菓子屋にも売っているソフトグライダーだった。

人間はなるべく若いうちに、F-18のような本物の戦闘機とふれあう必要がある。そうしないと筆者のような、一切覇気のない33歳フリーターができあがってしまう。本作を観れば、一撃で一生分の戦闘機エキスが摂取できるので、2000円で覇気が手に入ると考えれば破格の買い物だと言える。(覇気の相場はわからないが)

 

 

 

 

 

 

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